スーパーで醤油を買う時や料理のレシピで出てくるとふと思う、薄口醤油と濃口醤油の違いについて、作る工程や味の違いから料理に合う使い分けまで紹介します。
醤油は5種類
まず、日本の醤油はJAS規格で5種類に分けられてます。
・濃口醤油
・薄口醤油(正式には淡口醤油)
・しろ醤油
・たまり醤油
・再仕込み醤油
このなかでも、全体の95%を2種類で占めているのが薄口醤油と濃口醤油です。
薄口醤油と濃口醤油の違い(結論)
二つの違いについて先に結論を書くと「繊細で素材の香りを生かせる薄口醤油」と「濃厚でカバーしてくれる濃口醤油」
使い分けは色と味、言い換えると醤油の存在感。
醤油の存在感をどの程度だしたいかで使わけます。
下記で具体的にどっちの醤油があう料理かを紹介しますが、あえて逆の方に使ってみてもまずいわけではないので、違いがわかって面白いです。(根底を揺るがす発言)
薄口醤油は淡口醤油
まず、薄口醤油は正式には淡口醤油と書きます。
テレビとかで(うすくちしょうゆ)と言っていたら漢字がわからないので勘違いしている人が多いです。
薄口醤油と調べている人が圧倒的に多いので、この記事では薄口醤油と表記しますが、正しくは淡口醤油です。
ネットショッピングモールの楽天で淡口醤油を買おうと思い「薄口醤油」で調べても商品名に薄口も淡口も入れられる配慮がされるほど薄口醤油で浸透しています。
淡口なら淡く薄い色の醤油とイメージしやすいかと思います。
ちなみに、薄口醤油は材料の持ち味を生かす京料理に合うとして兵庫県の龍野で考案されました。
関西の方で定着しているのでうどんのダシの色は関西が薄く、関東は濃い(濃口醤油)です。
薄口醤油と濃口醤油の違い
薄口醤油と濃口醤油の違いを細かく見ていくのですが、管理人が感じるの薄口と濃口の醤油の違いは色と香りです。
色が薄いのは見てわかりますが、薄口醤油の方が香りが繊細です。
ちまたでは、薄口醤油は香りも旨味も薄いと言われますが、個人的には食材の香りと混じって濃口醤油と違った風味が生まれると思います。
食材の色や風味を最大限に生かした料理をする京料理で採用されているので薄口醤油の良さがあるのは間違いないです。(虎の威を借りる)
ある程度料理ができるようになってから、薄口醤油を使って鶏雑炊を作った時に「ウマッ」と自画自賛したほどです。(笑)
最近わがやでは、薄口醤油に昆布と煮干しを浸けて旨味マシマシにしています。
濃口醤油も旨味が増して塩味のとんがりがまろやかになって安い醤油でも高いええ奴みたいに美味しいです。(話がそれてる)
伝わりにくい感覚的な話はこの辺にして、数値や作られかたでの醤油の違いを書いていきます。
理屈っぽいのがめんどくさい人は「薄口醤油と濃口醤油の使い分け」の見出しまで飛んでもいいかもしれません。そっちに結論も書いておきます。
塩分濃度
薄口醤油と濃口醤油では塩分濃度が違います。
つまり、塩が入っている量が薄口醤油の方が多い。
正式名称の淡口醤油ならイメージしやすいのですが、薄口とつくと味が薄いのかな?と勘違いしてしまいますよね。
作っているメーカーによっても違いますが
薄口醤油の塩分濃度は18~19%程度
濃口醤油の塩分濃度は16%程度
が多いです。
下記に出てきますが薄口醤油は発酵をし過ぎないように調整しています。
その一つとして塩を多く入れてます。
舐めてみるとわかりますが、薄口醤油の方がしょっぱいです。香りも薄いのでより塩味を感じます。
これは管理人の個人的な予想ですが、薄口醤油は風味を重視する京料理に合うように作られたので塩分が薄いと、薄口醤油を多く入れる必要があり、素材の味が薄まるといった理由もあるのかなと。
材料は基本一緒だけど比率が違う
基本的な醤油の原料は、大豆と小麦に塩と水です。
大豆と小麦に麹菌を繁殖させて、塩と水で雑菌が繁殖しにくく麹菌は増える環境を作って発酵させます。
薄口醤油も濃口醤油も材料は同じです。
ただ、比率が違うようで濃口なら大豆と小麦の量は半々、薄口醤油の方が大豆の比率が多い傾向があるそうです。
それ以外にも、薄口醤油には米を入れている所もあるそうです。
米と言えば味噌を作るときに麹菌を米につけて繁殖させます。
米のデンプンを糖に変えてくれるので米の比率を増やすと甘い味噌になります。
そういった効果を狙っているのでしょうか?
発酵の度合い
薄口醤油と濃口醤油の大きな違いは「色」と「香り」です。
この二つの違いを生んでいるのが発酵です。
発酵とは、人間にとってより良い菌が増えることで長期保存ができるだけでなく香りや旨味が増すことです。
逆に食材が腐ってしまうことを腐敗と呼びます。違いは人間にとって好都合かどうか。
醤油は人間にとってより良い「麹菌」を増やしているので発酵しています。
薄口と濃口の2種類の醤油はその発酵期間が違います。
淡い薄口醤油は発酵期間が濃口醤油より短いです。
味噌や醤油に使われる麹菌は雑菌よりも塩に強いです。
味噌にカビが発生しにくいのも、塩分が高いからです。
雑菌は繁殖しにくいけど、麹菌は繁殖できる環境を作っているので安定して発酵させることができます。
ちなみに、薄口醤油は発酵を抑える効果もあり塩分濃度を高くしています。
他にも最後に加水をして薄める手法もあるので、実際に入れる塩分は上記に書いた薄口と濃口醤油の塩分濃度2~3%以上の違いがありそうです。
色の濃さ
二つの色の違いは上で書いた発酵の度合いの違い。
薄口醤油の方が色が淡く薄いです。
濃口醤油は醤油でイメージされる黒さです。
専門的に言うと着色反応やメイラード反応と言います。
薄口醤油には、色を薄くする工程もあるんだそうです。
加水する以外の方法があるのですかね?
旨味と香りと
すでにちょこちょこと出てきてますが、旨味と香りについて。
濃口醤油の方が発酵をしっかりしている分、香りも旨味も強いです。
食材の香りを生かして名わき役として醤油を使うなら薄口醤油。
食材の旨味が少しもの足りない場合や、焼き肉のタレなど万能ソース系を作るなら濃口醤油の方が合うかなと思います。
味の違い
味と言っても塩味、旨味に香りがある程度です、調味料ですからね。
直接、薄口と濃口を舐め比べたら薄口のほうが旨味が無い分、塩気がとがって感じます。
薄口は味が物足りないと甘酒添加により糖分が補われていたりもします。
ただ、料理に薄口醤油を使うと食材の香りが立ちます。(今の管理人は薄口醤油推しw)
王道の考えかたとしては
・昆布など風味を生かした繊細なダシに入れるのは薄口醤油(関西)
・カツオダシに負けない強さを持つのが濃口醤油(関東)
カロリーの違い
ダイエットしている人は気になるカロリーの違い。
醤油大さじ一杯で濃口が13kca薄口は10kca程度。
薄めている分、薄口の方がカロリーも低いんですね。
塩分濃度も薄口の方が高いので、少ない量で味が決まります。
まぁそこまでカロリーを気にするなら、醤油少しと塩で味付けするのもいいかもですね。
薄口醤油と濃口醤油の使い分け
熱く長く語ってしまったので薄口醤油と濃口醤油の使い分けをするためにもう一度、二つの醤油のちがいについて一言で書きます。
万能型で旨味と香りを補ってくれる濃口醤油
繊細で素材の存在感を生かせる薄口醤油
シンプルに使い分けるなら、京料理や懐石料理のように繊細な味や香りを楽しむなら薄口醤油、生卵を絡めて食べるすき焼きや焼き肉のタレに使うなら濃口醤油がおすすめです。
例えば野菜炒め、どちらで作っても美味しいです。
ただ、畑で取れた野菜(味が濃い)やニンニクやネギなど香味野菜などの香りを生かしたい場合は薄口醤油。
牛肉など臭みが強いお肉や、もやしなどそれ自体に香りや味が少ない食材を入れる場合は濃口醤油の方が合うのかなと思います。
薄口醤油に合う料理
一般的に薄口醤油に合うと言われている料理を紹介します。
茶碗蒸し
お吸い物
白身魚の煮物
きざみうどん
野菜の煮物
うどんの出汁
お吸い物
茶碗蒸し
おせち料理の煮物
卵焼き
炊き込みご飯
炒め物
色を付けたくない煮物
刺身
濃口醤油に合う料理
同じく濃口醤油に合うと言われている料理一覧です。
にくじゃが
たぬきうどん
焼肉のタレ
そばつゆ
肉じゃが
魚の煮付け
おでん
きんぴらごぼう
冷や奴
すき焼き
チャーハン
豚の角煮
焼き餅
最後に
今回は二つの醤油の違いを紹介しました。
正直、合う料理で書いている方の醤油じゃなくても大丈夫です。(元も子もない発言2回目)
例えば、刺身の醤油は基本的に濃口醤油ですが、薄口醤油や塩で食べる人もいます。
それ以外だと梅干しと酒とカツオを日本酒に入れて煮込んだ「入り酒」という醤油ができる前に使われていた調味料が特に白身魚の刺身に合うとも聞きます。
他にも管理人が住んでいる九州の醤油は甘いと言われますが、刺身醤油は特に甘いです。
これは九州だけでしょうか?調査のために北海道に美味しい刺身を食べに行かねばなりません。^^
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