今回はこの記事でもちょこちょこ出てきている、メイラード反応について書いていきたいと思います。
飲食店で働いていた時に、A4の牛ロースステーキを焼きながらシェフにポイントを教えてもらいました。(感性の説明も多かった)
それから自分で調べて知識が増えました。
何となく知っていた、きつね色に焼いたほうが美味しい理由がわかると食材が変わっても応用でき、料理のレベルがグンと上がります。
メイラード反応とは香りと旨味が増やすこと
ステーキや餃子に焼き目がついてきつね色だと美味しそうに見えますよね。
そして美味しい。あれはフライパンや鉄板で「焼く」ときの熱でメイラード反応が起きて糖分とアミノ酸が変化しています。
メイラード反応はフランス人科学者メイラードさんが発見しました。
メイラード反応が起きて生まれる褐色物(茶色、きつね色)は「メラノイジ」と呼ばれます。
メイラード反応の特長としては
・食材が茶色くなっていく
・旨味が増す
・風味が良くなる
・高温だと変化が早い
・糖とアミノ酸がある時に起きる
糖とアミノ酸の変化
メイラード反応は糖とアミノ酸に熱が加わり急速に変化してます。
複雑な工程をへて
・メラノイジン
・ソトロン
となります。
焼きたてのパンや、焼き肉での肉の焼ける匂いはすごく食欲をそそりますよね、あれです。
この辺の化学式的な変化工程を詳しく知りたい人は、専門的な本や論文に書いてるのではないでしょうか。(そこまでは読んでないですが化学式があったのは見ました)
メイラード反応は常温でも起きてる
焼いたり煮詰めてたりときに起きると思われてるメイラード反応ですが、常温でも起きてます。
肉を置いておくと褐色(茶色)に変色するのもメイラード反応が起きているそうです。
ただ、鉄分の酸化やたんぱく質の変化も同時に起きているので、すべてがメイラード反応というわけでは無いですが、焼かなくても起きてはいます。下記で出てくる味噌や醤油もそうですね。
大切な事は、食材や調味料の糖分とアミノ酸が熱によっていい香りで美味しくなる。と理解してればいいかと思います。
料理で起きているメイラード反応
私たちは知らない間に料理でメイラード反応を利用していて、基本的には「焼く」という調理で一番起きています。
例)焼き魚、ステーキ、野菜炒め、お好み焼き、焼き飯
きつね色に焼けたり香ばしい香りがするのは、メイラード反応が起きているからです。
食材を熱して高温で調理するので、肉や野菜のアミノ酸と糖分がメイラード反応を起こします。
チャーハンを作るときに、醤油を回しながら鍋肌に入れるのもメイラード反応を起こして香ばしい香りをプラスするためです。
このメイラード反応を意識して炒めるだけで、同じ材料と調味料を使っているのに違う。
つまり「レシピを見て調味料もちゃんと量って作るのになんか違う」が起きにくくなります。
調味料で日本食は簡単に美味しくなる
日本食は美味しい!世界にそう認知されています。
日本食がユネスコ無形文化遺産に認定されたので、調理師を目指している学生も増えているそうです。
日本食の繊細な味付け、食材の味を生かす、飾り切りや盛り付けなど職人技もあるものの、日本食を大きく支えている調味料の味噌と醤油にもメイラード反応が起きています。
家庭でもメイラード反応を起こしている調味料を入れるだけで簡単に美味しい料理を作ることができます。
味噌や醤油
上記でも少し書きましたが、メイラード反応は焼いたり揚げたりする時だけに起きるのではないです。
常温でもゆっくりですがメイラード反応がおきてます。
味噌も醤油もアミノ酸と糖分どちらも含んでいるので、発酵する工程で麹菌が米や麦のデンプンを糖分に分解、大豆のたんぱく質もアミノ酸にされます。
そこでもゆっくりとメイラード反応が起きますし、醤油は最後に火入れをするのでその時にもメイラード反応で醤油の香ばしさが一気に増します。
手作り味噌は、このブログで作り方や工程をレポートしているので気になる人は見てください。
手作り発酵食品はめちゃうまです^^⇒味噌づくり
フランス料理はメイラード反応を起こしてソースを作る
メイラード反応はフランス料理でも多用されています。
フランス料理の味付けは塩と胡椒が中心にハーブなどで香りづけします。
それに、具材を煮詰めてソースを作る時にメイラード反応がフライパンの中で起きて美味しく深みがでます。
家庭で日本食を作る場合は、すでに発酵している醤油や味噌を使うことで手軽に美味しい味付けにできます。
醤油と味噌を使えば日本風の味付けになりますね。w
逆に、フランス料理などのソースはその都度食材から旨味を引き出すので上級者向けとも言えます。(フランス料理にも簡単で美味しい料理もあります)
ちなみにシェフが昔、クリスマスコースで作ってたロブスターのスープは衝撃的なおいしさでした。
エビの殻からもうまみが取れるとハサミで切っていたのは覚えてます。(もっとちゃんと見とけばよかった・・・)
メイラード反応にテフロンは向いてない?
メイラード反応を起こすのに、テフロン加工のフライパンが向いてないとの話を聞きました。
理由は温度が低くなるから。
テフロンは強火や空炊きが禁止温度に入ってます、高温にしすぎると焦げますが温度が低いとメイラード反応が起きにくいので強火や空炊きで温度が禁止されているテフロン加工のフライパンは向いてないと言われています。
それ以外にも、フッ素加工されているフライパンはアルミ製が多いです。
アルミ製は熱伝統率が高いのですぐに温度が上がるのですが、逆にすぐ冷める。
温度ドリップの所で書きますが温度が下がらないこともメイラード反応をしっかり起こすためには大切です。
と言っても、テフロンのフライパンでもメイラード反応は起きます。
お好み焼きやホットケーキがが「きつね色」に焼けていればメイラード反応は起きてますので安心してください。
メイラード反応に程度な温度
メイラード反応が起きやすい温度は155度~180度と言われてます。
なので、180度以上にならない程度をキープできるときつね色で香ばしく焼けます。
ただコンロの火は1500度ほどあります。
フライパンを挟んでいるといえども少し目を離すと焦げてしまい、苦くて食べられなくなります。
ちなみに、180度以上になると糖分がカラメル化を起こして苦みが生まれます。
プリンの茶色いカラメル部分(最近はカラメルが無いプリンもありますが)がイメージしやすいと思います。
苦みも少しならアクセントになりますが、焦げてしまうと失敗作ですね。
さて、適度な温度がわかった所でテフロン加工のフライパンより鉄なべがいいと言われている理由についてみていきましょう。
鉄なべが向いてる理由
洗った後に油を吸わせるなど手入れが必要な鉄のフライパン、通称鉄なべがいいと言われているのには訳があります。
温度ドリップでフライパンが冷めにくい
メイラード反応を起こす際に鉄なべだと蓄熱性(熱を多くため込める)と熱伝導率の関係でフライパンが冷めにくいです。
塩ゆでする時に、ブクブクと沸騰したお湯に茹でる野菜や肉を入れたときに沸騰が一瞬下がりますよね。食材が入りお湯の温度が下がるからです。
同じようにフライパンの上に食材を乗せて「ジュー」と音が鳴っているのは温度差で焼けています。
キンキンに熱くなっているフライパンの温度は下がります。
これは「温度ドリップ」と呼ばれます。
メイラード反応のためには180度をキープするのがいいので、フライパンの温度が下がりにくい鉄なべ(鉄製のフライパン)のほうが向いていると言われています。
ほかにも鉄分がメイラード反応を手助けするそうです。
鉄のフライパンで焼いた目玉焼きは香ばしさが違うらしいので試してみようと思います。(やってないんかい)
日本酒やワイン、コーヒーにも起きている
醤油や味噌の部分で少し触れましたが、メイラード反応は料理中だけでなく普段から起きます。
日本酒やワインの「発酵する時」も起きています。
どぶろくを「実験」として作ってみるとわかりますが、水が少し黄ばみます。
その黄ばみはメイラード反応が起きているからなんだそうです。
市販の日本酒が透明なのは、炭などで不純物を取り除くときにその黄ばみも消えるからです。
他にも、コーヒーは焙煎する時の熱でメイラード反応が起き香ばしくなります。
最後に
こう考えるとメイラード反応が起こせない、起きない世の中だった場合、食のおいしさは半減以上に減ってしまっていたような気がします。
調べれば調べるほど私たちの「美味しい」に関りがあるメイラード反応とうまくつきあえるように焼き目と香ばしさを意識して料理してみてください。
そして管理人は、他の記事で紹介している低温調理にもハマっているのですが、メイラード反応を起こすためにきつね色に焼き目を付けていたら低温調理できない!との矛盾とぶつかってます。
現状では厚い肉は、強火から中火で焼き目を付ける(鶏むね肉だと皮面)
後は反対側も軽く焼いて余熱や水を入れてゆっくり中に火を入れる。
薄い肉は焼き目がつく前に固くなるので、サッと茹でるだけ。が一番美味しいかなと思います。
低温調理で一番簡単な茹でるが気になる人は読んでみてください⇒鶏むね肉柔らかく茹で
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